執事の雑感
被災地・熊本に行って思うこと
掲載日 2016年6月30日

5月下旬、生まれて初めて熊本に行きました。飛行機が高度を下げ空港に近づくと、阿蘇の緑とともに人家がまばらに見え、次第に青いシートが掛けられた屋根が目につくようになって来ました。六月に入ると西の方から梅雨入りとなり、ただでさえ不安な中で暮らしている方々は心穏やかではいられないでしょう。
毎朝放送されているNHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』のヒロイン・常子の雑誌作りを助けることになる花山伊佐次は、昭和21年5月に創刊された『スタイルブック』をもととする『暮しの手帖』の初代編集長・花森安治をモチーフにしています。氏は、
もしもひとりひとりが
自分の生活を大切にしていたならば
みんなにあったかい家庭があったならば
こんな戦争にはならなかったと思う
と言っていたそうです。
人は特に僧侶は声なき声に耳を傾けよう、と心懸けるべきです。私には他人を良くも悪くも変えることは難しいかもしれません。ただ、話をじっくりと聞き、書かれたものをひたすらに読むことで、自分が変わっていくことはできるような気がします。そしてそのことを、一人でも多くの人と共感できたならば、と思っています。それには花森氏のように「一戔五厘(赤紙=召集令状)の旗」を掲げる(庶民の暮らしを伝える)ことが大切なのでしょう。
今月(7月)は『お盆』、来月(8月)は原爆忌や終戦記念日。温かい家庭のもととなるのは、今はなき精霊・ご先祖に想いを馳せることから始まるのではないでしょうか。

(平成28年7月1日発行 常圓寺『季報82号』の「編集後記」より転載)

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