雑感
謹賀新年
2016/12/31

本年も皆様の幸福せを祈念し、精進してまいります。
昨年と同様のご支援をお願い申し上げます。

 

日蓮宗 福聚山 常圓寺
執事長 及川一晋 拝

(以下は自坊:八王子延壽院が2017年1月発行した『延寿』349号より転載)

春の始の御悦びを申し上げます。

昨年はEU離脱に揺れたイギリスや、大統領選挙で候補者が互いを罵りあったアメリカなど、第二次世界大戦後の体制を築いた西側先進国において、民主的な手続き(選挙)によって国民が支配階級に多くの疑義を呈しました。また、ロシアのクリミア編入やシリア内戦、南スーダンでの紛争など、不安定な国際情勢は続いています。国内では熊本地震や糸井川大火などの天災・人災があり、出生数が百万人を割込んだという報道からも、国民の間には忍び寄る見えない不安が横溢し、三年後に迫る東京オリンピック開催くらいのことでは、その空気を吹き飛ばすことはできない雰囲気です。

昨年末にポカリと時間が空いたので、気になっていた映画を見に出かけました。私の父方の祖父は明治四十年に京都紫野で生まれ、島根温泉津(ルビゆのつ)で育った、と聞いています。学生時代は東京に暮らし、当時日本領であった台湾でも調査研究をしていたようです。親が台湾に行き、そこで産まれた子供を「湾生(ルビわんせい)」と言うそうで、戦争に負けて多くの湾生が本土に戻ってきました。ただ、中には残った人もいたようです。そのドキュメンタリー映画『湾生回家』で自らのことを語る女性が印象的でした。お母さんは既に亡くなり、台湾にお墓を造っていたようです。母が寂しいだろうからと台湾に残るために現地の人と結婚し、戦後もずっと暮らし続けました。日本に帰った多くの湾生も様々に語っています。皆さん台湾の生まれた村、そしてそこにある山や川が古里なのです。ご先祖の墓参をするシーンがありました。そこでは、見たこともない祖母に「会えた」って涙ながらに語っていました。
私の祖父が台湾に居たことがあるという興味から、その映画を観たのですが、「ふるさと」「はは・そぼ」「おはか」が心象風景としてしまわれていて、そして時折それらと会い、語らうことができることが、どれほど幸せなことなのかに気付くことができました。その「お墓」をお守りしている一人として、気持ちを新たに歳を越し迎えました。

皆様が心穏やかに本年一年を過ごせますよう、元旦より祈念しております。

民藝運動 柳宗悦の句を添えます
指スヤ都 見シヤ茲ヲ

(都を求めて心の旅に出なさい ここをおいてどこに都があるだろう)

 

及川一晋
著者 及川 一晋
 常圓寺 執事長
アメリカにある別院や国内の関係深い寺院との宗教活動と、埼玉の幼稚園を経営しています。八王子の里山墓苑やロータスプロジェクトなど、私はそれらの総合企画担当で、このブログを通じて徒然に活動を紹介しています。
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